富山県立山町 風呂敷デザインワークショップ

小田 彩花 / Ayaka Oda Private Works
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飛騨山脈(北アルプス)に属する荘厳な立山連峰が町の傍にそびえ立つ、富山県立山町。

山から流れる豊かな水・力強い土地が育む作物は種類も豊富で、立山の名産品は数知れずあります。
様々な名産品を「包む」ことで立山町の想いを込めることができる風呂敷を、ワークショップを通してデザインするプロジェクトです。


大学生のときに取り組んだ本プロジェクトは、私のワークショップ企画/設計デビュー作です。


このプロジェクトを通して、
現地を肌で感じ、それをデザインに落とし込んでいく大切さ、難しさ
そして大変だからこそ味わえる喜びを改めて実感しました。

Planning & Facilitation小田 彩花
Produce富山県立山町

激しい水と共に暮らしてきた町「立山町」

立山町は、日本三大霊山の一つに数えられている『立山』が町のシンボルです。
古くより山岳信仰の対象になってきた立山は、荘厳な存在として人々の暮らしの中心にあります。


恵みをもたらす一方、
標高約3,000mを一気に流れ下る、まさに“滝”のような急流である激しい水は何度も町を飲み込み人々を苦しめてきました。
それでも粘り強く何度も何度も整備してきた富山県のインフラ施設は、技術の高さ然り観光資源としても有名です。

そのような激しく豊かで荘厳な土地が育んできた産品/文化/さらには人柄までを見つめ、
“立山らしい風呂敷とは何か”深く考えることをプロジェクトの軸としました。

町民を交えたデザインワークショップを企画

今回のプロジェクトでは、町民を交えたワークショップを企画しました。
長年住んでいるからこそわかること、またずっとこの土地で育ってきたからこそ改めて良さを再発見してもらうことを目指しました。

アイデアを出すようなワークショップに参加したことのない方でもスムーズに取り組めるよう、
ワークシートや進行の構成を検討し、
町民自身が「自分たちが作り上げた」と実感してもらえるようなワークショップを設計しました。

3日間のワークショップの流れ

「立山らしさ」を追求する

町の景観はもちろん、ふと出る人柄や独特な風習など日常の様々な場面に「立山らしさ」が潜在していると考え、
ちょっとした出来事にも着目し記録してもらえるよう、感情を軸にしたワークシートを制作しました。

町を歩いて見つけてきた出来事をグループで共有し、メンバーとのコミュニケーションをベースに“伝えたいこと”を整理。
伝えたいことを発想の軸とし、キーワードやビジュアルに起こすことで
風呂敷デザインのコンセプトとなるイメージボード(6案)を完成させました。

1. 見返りを求めない控えめな優しさ

2. 農家さんの内に秘めた熱い思い

3. 立山の食文化を育んだ自然への感謝

4. 環境によって様々な姿を魅せる立山町のシンボル立山連峰

5. 立山の山あいを巡り姿を変えながら流れてくる水の多様さ/豊かさ

6. 空の青と山の白/夕日の赤と山の白/水の色/雪の色/季節の色

風呂敷を9案デザイン/3案を商品化 ふるさと納税の返礼品に採用

ワークショップでアウトプットされたイメージボードを軸に、計9案の風呂敷デザイン案を作成。

町長や町の運営に関わる方にプレゼンテーションし、最終的に3案が商品化、
現在は立山町のふるさと納税の返礼品として活躍しています。

完成した風呂敷 包んで結ぶと立山の表情が見えるデザイン

北陸新幹線の開通によりアクセスが便利になったものの、立山町までは片道4時間弱。
1年の間に10数回(ほぼ日帰り)訪問しました。

ワークショップ期間中は、始発で行って終電近くで帰ってくることもあり本当に大変でしたが、
やはり実際に現地に行くからこそ経験できる
「立山らしい」自然/空気/人柄を町の随所に感じました。
町民の方との会話から魅力を発見し、デザイン要素に落とし込んでいく経験がとても楽しかったです。

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