アルムナイトーク「SHEにジョイン。活動領域の広がりと自らの変化」

鈴木 偵之 / Sadayuki Suzuki Alumni Works
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2022年、富士通デザインセンター・旧 富士通デザイン株式会社を卒業した方をつなぐ「アルムナイコミュニティ」が有志により発足しました。「アルムナイトーク」はその施策のひとつとなるトークイベントです。アルムナイから新たなフィールドでの活動・体験・実践知について語っていただくことで、デザインセンター在籍者や他のアルムナイが気付きを得たり、新たな交流のきっかけを目的としています。

鈴木さんは現在“一人一人が自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を創る”というビジョンを掲げるスタートアップ企業、SHE株式会社のデザイナーとして活躍されています。ジョインしたきっかけ、デザイナーとしての領域の広がり、スタートアップへの順応について語っていただきました。
(代筆:FACE運営)

Designer鈴木 偵之

10年を超えるキャリアを築いた富士通時代

富士通時代の鈴木さんはデザインに軸足を置き、企業の課題解決を支援するデザイナーとしてBtoB案件を担当していました。サービスやプロダクトのデザイン制作から始まったキャリアは、コミュニティデザインやブランディングを経て、ビジネスの上流へと向かい精力的な活動を続けていました。

自らの行動、人とのつながりを経てSHEへのジョインを決断

時代は少しずつ変化を遂げていきます。個の時代、VUCAの時代と言われる中で、鈴木さんは自分の在り方について少しずつ疑問を感じるようになりました。

「富士通を抜きにしたいち個人としての存在は、一体どのようなものなのだろうか」

鈴木さんは、匿名かつ所属企業を伏せた形でSNSを活用し、個人のデザイナーとしての活動を始めました。“個の時代、新しい働き方・生き方”をテーマとし、発信・活動を開始した鈴木さんの考えに共感する複業の会社員やフリーランスなどが集まることで、新たなつながりが誕生しました。

「自分が関わることで、目の前の人が人生を切り開いていくシーンを目にすることが増えました。
自分にとってとても新鮮な体験でした。この体験を繰り返すうちに、もっと自分らしく生きられる人を世の中に増やしたいとの思いが強くなりました」

同時期に、鈴木さんはプライベートで身内との死別を経験しています。そして、一度しかない人生だからこそ、自分がやりたいことに挑戦しようとSHEへのジョインを決めました。

SHEの事業内容

SHEのメイン事業は、女性向けのキャリアスクール『SHElikes(シーライクス)』の企画運営です。この女性向けのキャリアスクールは、社会課題の解決と事業の成長を両取りする、「インパクトスタートアップ」と呼ばれるジャンルです。学ぶだけでなく「学ぶ」と「働く」が循環するキャリアプラットフォームの創出を目指しています。

「SHElikesの特徴のひとつに、熱狂的コミュニティがあります。
1人のユーザーさんの成功体験や熱量を他のユーザーさんにも伝播させて社会的なモメンタムを生むために、コミュニティにテクノロジーを掛け合わせて再現性を持たせる仕組みを作っています」

活動領域の広がり

SHEのデザインユニットには、「コミュニケーションデザイン」と「プロダクトデザイン」の2種類があり、鈴木さんはUIUXを中心としたデザインを行うプロダクト部門に所属しています。プロダクト戦略から要件定義、UI開発、開発プロセスの整備など、活動領域が大きく広がりました。

「SHEのプロダクト品質を定めるためにデザイン原則とチェックリストを作り、メンバーが“良いデザインとは何か?”を共通して語れる文化づくりにも取り組んでいます。他にも人事と二人三脚で採用戦略を立て、自らスカウトを送るなど、組織づくり・採用広報にも積極的に関わっています」

大きな環境変化への対応

大企業からスタートアップ、クライアントワークから事業会社のインハウス、toBからtoCと、鈴木さんを取り巻く環境は大きく変わりました。自分の共感する事業にコミットし続けられる喜びや、自分自身がデザイナーとして、ビジネスマンとして変化していく楽しみを感じる日々だと語る鈴木さんですが、楽しく取り組める今があるのは、富士通時代の経験の賜物だといいます。

イベント終盤には、富士通デザインセンターのメンバーからも「富士通時代の経験の中で、今に活きていることが知りたい」との質問が飛び出しました。

「社会人としての基礎力、総合力です。自分は今の会社では社会人経験が長いほうになるので、これまでの富士通での経験をSHEにインストールしていっている面はあると思います。
例えば、社内において、周囲との合意形成の仕方や段取り力など、私の価値として感じてもらえることが多々あります。これは富士通時代にいろいろな企業のお客様との打ち合わせを経験する中で、身についたものだと感じます」

さらに、富士通が開発したインタビュー手法であるAImインタビューを使ってユーザーにヒアリングを行ったり、共創ワークショップを実施したりと、複数の部署を巻き込みながら推進していく手法も富士通時代の学びが活かされたそうです。

“スタートアップの中の人”への順応

鈴木さんがSHEに順応していく過程、スタートアップの中の人になる過程についても質問がありました。

「SHEへ入社後、オンボーディングの期間があり、会社の文化に馴染めているかどうかの観点でケアが行われていました。具体的には、定期的な1on1や、食事をしながら話す機会の提供です。メンターとの対話の中でSHEへの理解を深めていきました」

 “スタートアップの中の人”になる選択をした鈴木さんですが、自分の中では、まだ完全に切り替えられていないとの発言もありました。

「未だに自分の中で、スケジュールのスピード感やアウトプットの粒度をチューニングしている最中です」

スピード感の違いを痛感した出来事があったそうです。SHEにジョインした後、鈴木さんには、3カ月単位でのミッションが与えられました。しかし、提案したプロセスに対し、リーダーは、3分の1の期間で進められないかと尋ね返したといいます。

「3倍のスピードで進めることは、現実的に不可能です。そこで、パラダイムを変える必要性に直面しました。
SHEには、最初は小さく作って出した上で、テストをしながらアップデートしていきましょうという文化があります。正直、最初は抵抗感もありましたが、toCかつ小規模だからこそ、試せることがあると学び、今は納得の上で進めることができています」

仕事の価値観の大きな変化、そしてこれから

デザイナーとしてのキャリアについて考えていた鈴木さんですが、SHEではPdMの役割も担うことになり、迷いが深まります。しかし、プロジェクトチームのKPIの進捗が芳しくない状況となったことを機に、鈴木さんの意識が大きく変化しました。

「ユーザーや事業のためになることなら、なんでもやろうというマインドになりました。その中には、自分の中でかつてはデザインと呼んでいなかった仕事も含みます。
自分のやりたいことと事業内容や目指すビジョンが一致すれば、仕事への取り組み方が大きく変わることを実感しました」

最後に、鈴木さんのアルムナイトーク参加の感想で締めていただきました。

「今回のアルムナイトークをきっかけに、自分のキャリアを振り返り、こうしてみなさんと接点を持つ機会ができたことを嬉しく思います。今度は、会社同士での交流会を開催しましょう」

鈴木さんの現在や、富士通メンバーからの質問、交流アイデアなど記事に載せきれない程の内容がたくさん詰まっていました。鈴木さんの今後の活躍への期待、そしてアルムナイとして富士通との新しいつながりが生まれたトークイベントでした。

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