富士通歯科クラウドサービス -予防歯科の浸透を目指して-

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「富士通歯科クラウドサービス」」は、口腔内の状況をデータ化し、歯科医院と患者が安全にデータを共有することができるサービスです。患者は自分の口腔内の情報をスマートフォンやPCで気軽に見ることができます。また、医療スタッフは診療情報やホームケア情報に関するアドバイスなどを提供することで口腔の健康の大切さを直接伝えることができます。本サービスは患者と医療スタッフをつなぎ、予防歯科がより身近な社会になることを目指しています。

私はデザイン担当として医療現場のヒアリングからプロジェクトに参画し、UIデザインやプロモーションデザインまで一貫したデザイン活動を行いました。

Client富士通株式会社 ヘルスケアソリューション事業本部
Director辻垣幸子、金子一英
Designer菅原由貴、加藤沙織、佐藤和星

歯の健康は全身の健康につながる ~酒田市での出会い~

私はこのプロジェクトに携わる前まで、人生で幸いむし歯になったこともなかったため、歯科医院に通ったこともなければ、予防歯科への認識も低く、あまりピンときていませんでした。 しかし、熊谷先生をはじめ、医療現場のスタッフの方々の話を直接聞き、その考えは180度変わりました。熊谷先生は山形県酒田市、日吉歯科診療所で理事長を務めており、全国から学ぶために、累計4,000名の歯科医療・企業関係者が酒田市に訪れています。私も現地に行き、直接お話を伺うことができました。

最近の研究で、むし歯や歯周病の原因菌が心臓病や糖尿病などの疾患にも大きな影響を及ぼすことが明らかになってきており、予防歯科は口腔内の健康に効果的なばかりではなく、全身疾患の予防にもつながることが知られてきています。そのため、世界では予防歯科はスタンダードになってきています。
一方、日本の歯科医療では「歯は悪くなったら病院に行って治せばいい」という考え方が根強く、メンテナンスのために治療完了後に定期的に継続して歯科医院に通う習慣が浸透していません。

私はこの話に大きなショックを受けるとともに、「歯の健康の大切さをより多くの人に理解してもらいたい」という医療スタッフの想いに強く共感し、予防歯科を推進する歯科医院と連携しながら、サービスとして具現化するためにデザイン活動を行ってきました。

  

患者だけでなく、医療スタッフにも寄り添ったデザインに

最初のデザインの依頼は、医療スタッフが患者向けに口腔内状況や診察情報等を紙で提供する、従来の資料をデジタル化するための共通フォーマットの体裁を整えることでした。

フォーマットのデザイン検討をするにあたり、医療現場でのヒアリングの機会をいただきました。ヒアリングを通して、患者に少しでも予防歯科の大切さを伝えるために、医療スタッフが日々努力と工夫を重ねて資料制作をしていること、一方でそれはスタッフの業務の負担にもつながっていることがわかりました。

つまり、スタッフの業務負担を最小限に抑えつつ、正確な情報や想いもしっかり伝えることができるサービスの検討が必要となったのです。

 

そこで私は、従来スタッフが使用していた紙の資料をすべて洗い出し、情報の整理や構成の見直しを行いました。具体的には、診察フェーズごとに提供する患者の口腔内を記録した資料と、患者の状態ごとに追加で提供する資料とでカテゴライズし、資料内は章立てすることで情報の構成を明確にしました。また、レイアウトに一定のルールを設け、スタッフが資料を制作する際になるべく作業の手間がかからないように診察結果やコメントだけ入力すれば完成する、効率的でわかりやすいフォーマットをデザインしました。

こうして完成した共通フォーマットはスタッフの業務に負荷をかけることなく自由にカスタマイズできるようにすることで、患者ひとりひとりに合ったかたちで口腔情報を伝えられるようになり、患者の歯の健康に対する理解の深まりにもつながります。

  

そして、共通フォーマットのデザインで実績をつくったことにより、新たにUIデザインの依頼も頂きました。それは、診察結果を視覚的に1画面で見せる機能のUIデザインです。本機能では、患者に伝える歯の本数(むし歯の本数や歯周病の本数など)の情報を最小限に絞り、それらをインフォグラフィックによって表現、また、数値を単純なグラフではなく、数値によって色やイラストの表情に変化を加えるなど、患者にとって直観的でわかりやすいデザインを実現しました。また、簡単な入力作業のみで作成することができるため、スタッフ業務の負担のさらなる軽減にもつながりました。

  

  

   

歯科医院へのネガティブなイメージを払拭する

日本国内では特に、歯科医院といえば治療に対する恐怖心や抵抗感などネガティブなイメージが強いかもしれません。そこで、サービス全体のデザインはそのイメージを緩和し、幅広い年齢層の方にも利用していただけるよう、明るく親しみやすいデザインにしました。

また、患者の口腔内の状態や歯科情報を伝えるためには、専門的な内容が多く出てきます。そこで、医療スタッフの方の協力をもとに検討を重ね、イラストや図解を多用することで、難しい歯の情報も患者に正しく伝えることができるようになりました。

  

   

サービスの成長を支えるプロモーション活動

本サービスをより多くの歯科医院や患者に利用していただくために、医院に掲載するポスターなどのプロモーション資材、サービスの利用をスムーズに手引きするためのリーフレットなどの制作も行いました。

また、定期的に全国の歯科医院に向けに、富士通ではサービスの説明会を行っています。そこでは本サービスの理念を伝えることはもちろん、医療現場の生の声を聞くことで、サービスをより良いものにしていくためのヒントを得ています。説明会では、デザイナーとして登壇する機会をいただき、登壇後はお客様から直接喜びの声をいただくこともできました。このような機会はサービスの成長はもちろん、自身の成長にもつながり、貴重な経験となりました。

  

歯科クラウドセミナーの様子(2019年)

  

口腔ケアを継続してもらうために

予防歯科の課題の1つとして患者の意識を継続させることが挙げられます。メンテナンス直後は意識が高く、ホームケアもしっかり行うものの、しばらく経つとそれを怠ったり、メンテナンスの頻度が減ったりなど、患者のモチベーションの維持が難しいのが現状です。

そこで、ユーザーの潜在意識を把握するため、予防歯科を行っている・行っていない知人を通じて簡易ヒアリングを行いました。ヒアリングから、「成果が見えにくい」、「予防歯科を身近に触れる機会が少ない」などの要因が見えてきました。

こうした意見を参考にし、本サービスでは診察結果のデータを蓄積してグラフ化することで成果を見えやすくする、定期的に情報配信することでホームケアの継続を促すなど、メンテナンス前後だけでなく継続的に利用していただくために、ユーザーや現場の声を大切にしながら繰り返し検討と改善を重ねています。

  

予防歯科が当たり前となる社会を目指して

「富士通歯科クラウドサービス」は予防のために歯科医院に通い、予防意識を生涯に亘り継続させるための重要な仕組みです。本サービスは現在60医院以上にご利用いただいており、今後も歯科医院と企業とが連携することで、予防歯科の浸透と生涯自分の歯で食せる健康長寿社会の実現を目指しています。また、当社健康推進本部、健康保険組合とも連携し、社員へ予防歯科の啓蒙と、その社内実践モデルを社会に発信することで、歯科医療への関わり方とその重要性を変革させます。

  

私自身もこの取り組みを通して、予防歯科の重要性を認識することができました。今後もデザイナーとして、本サービスの理念や取り組みが広く社会に浸透するよう、サポートし続けていきます。 

  

歯の健康ファイルクラウド

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